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医工連携による製品開発で成功するためには、開発に着手する前の準備が極めて重要です。今回は、効果的なヒアリングを実施するための事前準備と調査方法について詳しく解説します。

事前準備の重要性:実際の成功・失敗事例から学ぶ

失敗を防いだB社の事例

B社は看護師から「手術中の体位固定具」のニーズを受けました。しかし、面談しヒアリングをする前にインターネットで「体位固定具」について調べ、競合品調査を実施したところ、要件を満たす既存製品を発見。看護師との面談で確認したところ、既存品で要求を満たすことが判明し、さらに代理店への確認で既存品の評価も良好であることが分かりました。

結果的に、B社は開発着手を回避し、無駄なコストを防ぐことができました。

医療従事者がニーズに関連する情報を十分持っているとは限りません。むしろ、自身の属する医療機関で使用されている機器類以外にどういった製品が販売されているなどの情報は医療機関に出入りしているディーラーから積極的に提供されるとは考えづらく、意識的に外部に取りに行かないとなかなか入ってこない環境です。さらに日常業務で忙しい医療従事者の中には情報収集をする時間がないという方も多いです。そのため、上記のように要件を満たす製品が既に世の中にあるにも関わらずニーズとしてあげるということが起きるのです。こういったことを避けるためには、B社のように開発に着手する前に、医療従事者のニーズを精査し、事前に調べてからヒアリングに臨むということが必要です。医療従事者へのヒアリング実施前の具体的な準備を下記にあげます。

効果的な事前調査の方法

1. 信頼できる情報源の選択

インターネットに掲載されている医学情報には誤情報も含まれるため、情報収集時は以下のような信頼できる情報源から収集することが重要です。

  • 医療機関の公式情報
  • 製薬会社の発信する情報
  • 医療機器メーカーの技術資料
  • ファクトチェックされている専門サイト

2. 基礎知識の習得方法

看護師向け雑誌は特におすすめです。看護師は医師と比べて広く浅く疾患および治療法の知識が必要とされるため、看護師向け雑誌では疾患ごとに特集が組まれており、基礎知識習得に最適です。

3. 競合品調査の実施

事前の競合情報収集により、以下のリスクを軽減できます。

  • 競合優位性のない製品開発への着手回避
  • 既存品で要求が満たされる案件への無駄な投資防止
  • 市場における自社製品のポジショニング明確化

ヒアリングを成功させるポイント

事前準備が正確な理解につながる

基本知識を身につけた上でのヒアリングは、医療従事者が発するニーズ内容を正確に理解することにつながります。専門用語や業界特有の表現を理解していないと、重要な情報を見逃したり、誤った解釈をしてしまう可能性があります。

段階的なアプローチ

  1. ニーズ関連情報の事前調査
  2. 基本知識の習得
  3. 競合品調査
  4. ヒアリング実施
  5. 事業性の検討

事業性検討に必要な定量情報

ヒアリングで得た定性情報に加えて、以下の定量情報も収集し、総合的に事業性を判断します。

市場規模に関する情報

  • ニーズに関する患者数、利用者数
  • ニーズに関する診療や治療実施数
  • ニーズに関する診療報酬(点数)
  • 医療機関あたりに使用される数量
  • 使用可能性のある医療機関数

競合環境の把握

  • 競合品の数
  • 競合品の価格
  • 競合品のシェア

事業計画書の活用

事業性を検討し開発に取り組むと決定した際は、事業計画書による事業化へのロードマップを作成することをお勧めします。これにより下記のことが可能になります。

  • 進捗状況の確認が容易になる
  • 補助金・助成金等の申請にも活用できる
  • 社内での意思決定プロセスが明確になる

まとめ

医療機器開発の成功率を高めるためには、開発着手前の丁寧な準備が不可欠です。適切な事前調査とヒアリングにより、後期段階での致命的な問題を回避し、市場性のある製品開発を実現できます。

次回は、医療現場特有の「非機能要件」について詳しく解説し、どのような視点で製品開発を進めるべきかをお伝えします。


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